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中小企業のIT化が遅れる5つの原因|限られた予算でも始められる解決策

January 23, 2026
「IT化しなきゃいけないのは分かってる。でも、何から手をつければいいのか分からない」。10人以下の会社を経営していると、こんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。周りの会社がどんどんデジタル化を進めているように見えて、焦りを感じることもあるかもしれません。ただ、安心してください。IT化が思うように進まないのには、ちゃんとした理由があります。そして、その理由が分かれば、対策も見えてきます。この記事では、IT化が遅れる5つの原因と、限られた予算・人手でも始められる具体的な解決策を紹介します。読み終わる頃には「まず、ここからやってみよう」という道筋が見えてくるはずです。

IT化とは何か?DXとの違いを整理する

IT化という言葉、よく耳にするけど「結局、何をすることなの?」と感じている方も少なくないと思います。シンプルに言うと、IT化とは「紙でやっていた作業をデジタルに置き換えること」です。たとえば、手書きの請求書をExcelで作るようにする、FAXでやり取りしていた注文をメールに変える、紙のタイムカードをクラウドの勤怠管理システムに変える。こういった一つひとつの置き換えがIT化にあたります。目的は「今ある業務を効率化すること」で、あくまで既存の仕事をラクにするためのものです。

一方で、DX(デジタルトランスフォーメーション)はもう少し範囲が広くなります。IT化が「業務の効率化」なら、DXは「ビジネスモデルそのものを変えること」を指します。たとえば、これまで店舗販売だけだった会社がECサイトを立ち上げて全国に販路を広げる、紙のカタログ営業からWeb集客に完全にシフトする。こういった「会社の稼ぎ方自体を変える」のがDXです。ただ、いきなりDXを目指す必要はありません。まずはIT化で足元の業務を整えて、その先にDXがある。そんなイメージで捉えておくと気がラクになります。

💡 ポイント

IT化は「今の業務をデジタルで効率化」、DXは「ビジネスの仕組み自体を変革」。まずはIT化から始めて、土台を作るのが現実的です。

ここで一つ、整理しておきたいことがあります。IT化とDXの違いを表にまとめると、こんな感じになります。

項目IT化DX
目的業務の効率化・コスト削減ビジネスモデルの変革
範囲既存業務のデジタル化事業全体の再構築
具体例紙→Excel、FAX→メール店舗販売→EC展開
難易度比較的始めやすい組織全体の変革が必要

この表を見ると分かるように、IT化はDXへの第一歩です。「うちはまだDXなんて早い」と思っている方も、IT化から始めれば十分。大事なのは「完璧を目指す」ことではなく「できるところから始める」ことです。小さな一歩が、やがて大きな変化につながっていきます。

IT化とDXの違いについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事で解説しています。

IT化とDXの違いを理解する経営者と従業員の様子

中小企業のIT化の現状|統計データから見える実態

「うちだけがIT化で遅れているんじゃないか」。そんな不安を感じている方もいるかもしれません。でも、実際のデータを見ると、IT化に苦戦しているのは御社だけではないことが分かります。中小企業庁の調査によると、従業員20人以下の企業でクラウドサービスを利用しているのは全体の約4割程度にとどまっています。つまり、半数以上の小さな会社がまだ本格的なIT化に踏み出せていないのが現状です。

業種別に見ると、IT化の進み具合にはかなり差があります。情報通信業や金融業は比較的進んでいる一方で、建設業、製造業、小売業、飲食業などはIT化が遅れている傾向にあります。特に現場仕事が中心の業種では、「パソコンに向かう時間がない」「そもそもパソコンを使う業務が少ない」といった事情が影響しています。ただ、これは逆に言えば「IT化の伸びしろが大きい」ということでもあります。

📝 補足

IT導入率が低い業種ほど、少しのIT化で大きな効果を実感しやすい傾向があります。「うちの業界はITと縁がない」と思っている会社こそ、チャンスかもしれません。

なぜこれほど多くの中小企業がIT化に苦戦しているのでしょうか。その理由を探ると、いくつかの共通したパターンが見えてきます。経営者がITに詳しくない、社内にIT人材がいない、導入コストが心配、何から始めればいいか分からない。こういった悩みは、業種や規模を問わず多くの会社に共通しています。

ここで大事なのは、「IT化が進んでいない=ダメな会社」ではないということです。IT化が遅れているのには、ちゃんとした理由がある。そして、その理由を一つずつ潰していけば、必ず前に進めます。次のセクションから、IT化が遅れる5つの原因を具体的に見ていきましょう。

デジタル化全般の課題について、より詳しくは以下の記事でまとめています。

中小企業のIT化現状を示すデータとグラフ

IT化が遅れる5つの原因

IT化が進まない理由は、一つではありません。いくつかの原因が複合的に絡み合っていることがほとんどです。ここでは、多くの小さな会社に共通する5つの原因を紹介します。自社に当てはまるものがないか、チェックしながら読んでみてください。

経営層のITリテラシー不足

まず注目したいのが、経営者自身のITへの理解度です。「パソコンは苦手」「ITのことはよく分からない」という経営者の方は少なくありません。でも、これは恥ずかしいことではないんです。今の50代、60代の経営者が会社を始めた頃は、まだインターネットも普及していませんでした。ITに触れる機会がなかったのだから、詳しくないのは当然です。ただ、経営者がITに消極的だと、どうしても会社全体のIT化は進みにくくなります。「社長がやる気にならないと、現場も動けない」という声は、よく聞く話です。

IT人材の不足

次に見逃せないのが、社内にITに詳しい人がいないという問題です。大企業なら情報システム部門がありますが、10人以下の会社でIT専任の担当者を置くのは現実的ではありません。結果として、「パソコンに詳しい人」が片手間でIT関連の仕事を担当することになります。でも、その人が退職したり異動したりすると、途端に誰も分からなくなる。こういった「属人化」の問題は、小さな会社ほど深刻です。

投資資金の不足

「IT化にはお金がかかる」というイメージを持っている方は多いと思います。実際、昔は業務システムを導入するのに数百万円かかることも珍しくありませんでした。ただ、ここ数年で状況は大きく変わっています。月額数千円から使えるクラウドサービスが増えて、初期費用ゼロで始められるツールも多くなりました。とはいえ、「本当に効果があるのか分からないものにお金を使いたくない」という気持ちは理解できます。投資対効果が見えにくいのは、IT化の難しいところです。

⚠️ 注意

「高いツール=良いツール」とは限りません。自社の規模や業務に合わないツールを導入すると、使いこなせずに終わることも。まずは無料プランや低価格のサービスから試すのが安全です。

何から始めればいいか分からない

意外と多いのが、「やる気はあるけど、何から手をつければいいか分からない」というパターンです。ネットで調べると情報が多すぎて、かえって混乱してしまう。「勤怠管理」「会計ソフト」「顧客管理」「在庫管理」…どれも大事そうに見えて、優先順位が付けられない。結局、「もう少し調べてから」「来月から考えよう」と先延ばしにしてしまう。この「決められない」状態が、IT化を止めている大きな要因の一つです。

変化への抵抗感

そして最後に、組織としての「変化への抵抗感」があります。「今までこのやり方でやってきた」「新しいことを覚えるのは大変」「失敗したらどうしよう」。こういった心理的なハードルは、経営者だけでなく従業員にもあります。特にベテラン社員ほど、慣れたやり方を変えることに抵抗を感じやすい傾向があります。IT化は単なるツールの導入ではなく、働き方の変化を伴うもの。だからこそ、心理的なケアも大切になってきます。

IT化が進まない原因は「やる気がない」のではなく、「環境や状況が整っていない」ことがほとんどです。自社の状況を客観的に見つめ直すことが、解決への第一歩になります。

IT化が遅れる5つの原因の概念図

限られた予算でも始められるIT化の進め方

原因が分かったところで、ここからは具体的な解決策を見ていきましょう。「うちは予算も人手も限られている」という会社でも取り組める、現実的なIT化の進め方を紹介します。

自社の業務を可視化する

いちばん最初にやってほしいのが、今の業務を「見える化」することです。紙に書き出すだけでも構いません。「毎日やっている作業」「毎週やっている作業」「毎月やっている作業」をリストアップしてみてください。その中で、「時間がかかっている作業」「ミスが起きやすい作業」「誰かがいないと止まる作業」をマークします。この作業が、IT化の優先順位を決める土台になります。

スモールスタートで一つだけ変える

業務の可視化ができたら、まずは一つだけIT化してみてください。全部を一気に変えようとすると、必ず挫折します。たとえば、「紙のタイムカードをスマホで打刻できるようにする」「請求書をクラウドの会計ソフトで作る」「顧客リストをExcelからGoogleスプレッドシートに移す」。こういった小さな変化から始めるのがコツです。一つうまくいくと、次への自信がつきます。

💡 ポイント

最初の一歩は「成功体験」を作ることが目的です。難しいことに挑戦するより、確実にできることから始めましょう。

無料・低価格のツールを活用する

「お金がない」という悩みに対しては、無料や低価格で使えるツールを活用するのが現実的です。たとえば、Googleが提供しているGoogle Workspaceは、メール、カレンダー、ドキュメント、スプレッドシートなどが一通り揃っていて、小規模なら無料で使えます。会計ソフトも、freeeやマネーフォワードは月額数千円から始められます。「まずは無料プランで試してみて、合わなければやめる」という姿勢でOKです。

業務おすすめツール費用目安
メール・カレンダーGoogle Workspace無料〜月額680円/人
会計・経理freee、マネーフォワード月額1,000円〜
勤怠管理KING OF TIME、ジョブカン月額200円〜/人
顧客管理HubSpot CRM無料プランあり

外部の支援を上手に使う

社内にIT人材がいないなら、外部の力を借りるのも一つの手です。ITコンサルタントに丸投げする必要はありません。「最初の設定だけ手伝ってもらう」「分からないことを質問できる相手を作る」という使い方でも十分です。最近は中小企業向けのIT支援サービスも増えていて、月額数万円で相談し放題というプランもあります。「全部自分でやらなきゃ」と思い込まないことが大切です。

効果を実感し、社内で共有する

IT化を継続するために大事なのが、効果を「見える化」して共有することです。「このツールを入れたら、月に10時間作業が減った」「ミスが半分になった」「お客さんへの対応が早くなった」。こういった具体的な成果を、数字で示せると説得力があります。効果が実感できると、次のIT化へのモチベーションが生まれます。小さな成功を積み重ねていくことが、継続の秘訣です。

限られた予算でIT化を進める経営者の様子

IT化を成功させるためのポイント

ここまで、IT化の進め方を見てきました。最後に、IT化を「やりっぱなし」で終わらせず、しっかり定着させるためのポイントを紹介します。

完璧を目指さない

最初から完璧なシステムを作ろうとしないでください。「もっと良いツールがあるかも」「もう少し調べてから」と言っていると、いつまでも始められません。60点でいいから、まずスタートする。走りながら修正していけばいいんです。僕も最初はExcelのマクロすら分からない状態から始めました。今でこそ自動化の仕組みを作っていますが、最初の一歩は本当に小さなものでした。

社内の理解を得る

IT化は経営者だけで進められるものではありません。実際にツールを使うのは現場のスタッフです。「なぜこのツールを入れるのか」「どんなメリットがあるのか」を丁寧に説明して、理解を得ることが大切です。いきなり「明日からこれを使え」と言われても、現場は戸惑います。導入前に「困っていること」をヒアリングして、現場の声を反映させると、スムーズに進みやすくなります。

🔴 重要

IT化の成功は「ツール選び」ではなく「人の巻き込み方」で決まります。現場を無視して進めると、必ず失敗します。

定期的に見直す

一度導入したツールも、定期的に見直すことが大切です。「最初は便利だったけど、今は使っていない」「もっと良いサービスが出てきた」ということは珍しくありません。半年に一度くらいのペースで、「このツールは本当に役立っているか」「もっと効率化できる部分はないか」を振り返る時間を作りましょう。

余裕を持ったスケジュールで進める

IT化は、思ったより時間がかかるものです。「今月中に全部終わらせる」といった無理なスケジュールを組むと、焦ってミスが増えます。特に繁忙期は避けて、比較的余裕のある時期にスタートするのがおすすめです。「ゆっくりでいいから、確実に」。この姿勢がIT化を成功させる秘訣です。

製造業におけるデジタル化の具体的な事例については、以下の記事で紹介しています。

IT化成功のポイントチェックリスト

IT化の一歩を踏み出すために

ここまで、IT化が遅れる原因と、限られた予算でも始められる解決策を見てきました。最後に、これから一歩を踏み出そうとしている方に向けて、大事なことをお伝えしたいと思います。

IT化は、決して「パソコンに強い人だけのもの」ではありません。大事なのは、「自社の課題を解決したい」という気持ちです。ツールの使い方は後から覚えればいい。まずは「何を解決したいのか」を明確にすることが、すべての出発点になります。

「うちにはまだ早い」と思っている方もいるかもしれません。でも、ちょっと小耳に挟んだ話なんですけど、「まだ早い」と言っていた会社が数年後に「あの時やっておけばよかった」と後悔するケースは、本当に多いんです。デジタル化の波は、待ってくれません。今日できる小さな一歩が、3年後の会社の姿を大きく変えます。

💡 ポイント

IT化の第一歩は「業務の棚卸し」から。今日5分だけ時間を取って、「毎日やっている作業」を紙に書き出してみてください。

もし「一人では不安」「相談できる相手がほしい」という方は、外部のサポートを活用するのも選択肢の一つです。大事なのは「完璧に準備してから始める」のではなく「できるところから、今すぐ始める」こと。御社のペースで、一歩ずつ進んでいきましょう。

IT化やデジタル支援について、実際に利用された方の声は以下の記事でまとめています。

IT化への第一歩を踏み出すオフィス環境

押さえておきたいポイント

IT化が遅れる原因は「経営層の理解」「人材」「資金」「優先順位」「変化への抵抗」の5つ。まずは一つの業務から、小さく始めるのが成功の秘訣です。

ポイント

  • IT化とDXは別物。まずはIT化で足元を固めよう
  • 無料・低価格のツールを活用すれば、予算が少なくても始められる
  • 完璧を目指さず、スモールスタートで成功体験を積み重ねる

IT化の進め方について詳しく見る

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❓ よくある質問(FAQ)

Q1.中小企業のIT化率はどのくらいですか?
A.従業員20人以下の企業でクラウドサービスを利用しているのは約4割程度です。半数以上の小規模企業がまだ本格的なIT化に踏み出せていないのが現状です。
Q2.IT化とDXの違いは何ですか?
A.IT化は「紙でやっていた作業をデジタルに置き換えること」で業務効率化が目的。DXは「ビジネスモデルそのものを変えること」を指します。まずはIT化から始めるのが現実的です。
Q3.予算がない中小企業でもIT化はできますか?
A.はい、可能です。Google Workspaceなら無料から、会計ソフトも月額数千円から始められます。まずは無料プランで試して、効果を実感してから有料プランに移行する方法がおすすめです。
Q4.IT化で最初に取り組むべき業務は何ですか?
A.「時間がかかっている作業」「ミスが起きやすい作業」「誰かがいないと止まる作業」を業務の可視化で洗い出し、その中から一つだけ選んでスモールスタートすることが重要です。
Q5.社内にIT人材がいない場合はどうすればいいですか?
A.外部のIT支援サービスを活用しましょう。全てを丸投げする必要はなく、「最初の設定だけ手伝ってもらう」「分からないことを質問できる相手を作る」という使い方でも十分効果的です。
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